雨侍
ゲリラ豪雨が全盛期である
天気予報で夕方まで曇りという予報だったのに、平気で昼頃にバシャバシャ降ったりするんである
予報も、大気不安定ですと、一言付け足すようになった
降るはずのない時間帯の豪雨
雨宿りできる駅ビルやコンビニが近くにあればいいが、住宅街だとそうもいかない
リュックを探ると、いつぞや入れた折り畳み傘が底に隠れていた
なんとありがたい!
手動で開き、歩き出す
前から人影がやってきた
バケツから水をかぶったようにずぶ濡れで、髪や額、頬から流れ落ちる水滴
虚空を見やりながらも、前を向く
雨侍(あめざむらい)だ
夕方まで降りませんという予報を信頼し、荷物になるからいらぬ、と折り畳み傘を持たずに住宅街に来たところ、突然の雨に遭い、雨宿りする場所も見当たらず、観念したように一歩一歩進んでいく
どうにもならんと覚悟を決めているように見える
リュックやバックで頭を覆っても無駄だと感じているようでもある
これだけ濡れたら、どこまで濡れても一緒じゃ、、好きに降れば良い、、思い切り濡らすが良いわ、、風変わりと笑いたくば笑えば良い、、今は浴びるより他に道はなし、、
すれ違う時に目線が合い、少し哲学めいたものを感じる
カッコいいと思ってしまった
避けられないことはジタバタせずに従う
おれが同じ立場だったら
とにかく走ってコンビニか大きな木の下を探し、なければ大きな庇がついた家を見つける
家主が出てきたら、雨宿りさせてもらってます、てへ!おっさんだけど、てへてへ!とか言ってその場をしのぐ
とても雨侍にはなれない
憧れはあるんだが、ジタバタする自信はある